「何」について書くかを決めるのは読み手

ブログを始める前、もっと言えば、2023年2月からvoicyのニュースパーソナリティの活動が始まる前に読んでおけば良かったー、と思った本に出会いました。

それは、
『入門 考える技術・書く技術 日本人のロジカルシンキング実践法』

著・山﨑康司

 

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文章の書き方の入門的な本です。
voicy IT ビジネスニュースでは、毎回「ピックアップニュース」というニュースを深掘りするチャプターがありました。
(奮闘の日々は、このブログの「voicy」カテゴリーの記事に残しています)

私は毎度原稿作成に非常に時間がかかっていました。
収録にかかる時間を逆算すると、遅くても23時頃には原稿が完成していないと厳しい、という感じだったのですが、任期の期間中、23時までに終わることはほとんどなく、24時頃に完成した日が圧倒的多数でした。

24時に完成した、といっても、収録の時間的にもう間に合わないので切り上げたという状況でした。


そのため、納得できる原稿が完成して音声収録、という回はほとんどありませんでした。


そんな日々だったので、振り返りをして、試行錯誤をして、1年の任期を終えた後には、多くの学びを得て、スキルアップも出来たと思います。

この本に出会ったのは、そんな試行錯誤をしつつも、残すところあと2回、という時期(2024年1月中旬)で、
もっと早く出会っていたら、もっと納得のいく原稿を作成できる回数が増えていたのではないか……!?
と思ってしまう程、とても参考になる本でした。

「こういう本を手に取るきっかけになったこと」も、ニュースパーソナリティの経験は本当に有意義だった、という証左かもしれません。


もっと言えば、社会人になったばかりの時にこの本を読む機会があれば、もしかしたらキャリア(周りの評価)が変わっていたのかもしれない……?です。




この本を通じて、私は文章の書き方がわかっていたようで全くわかっていなかった、と知れました。

国語の授業で習ってきたことや大学受験の現代文という科目で学んだことと、
レポート・ライティングのセオリーは違う、ということをとても分かりやすく伝えてくれる本です。

会社の研修やセミナーでも、ビジネス文書の書き方の指南は受けたことは何度かあったのですが、学んだのは、「序破急」とか「PREP法」……とかだった気がする。
この本のようなレポート・ライティングは、触れたとしても、少ししかなかった記憶です。
帰納法演繹法の説明とか。


まえがきにも

本書はレポート・ライティングの初級者を対象に、とりわけ日本語特有の問題に配慮し、考えを表現する方法を提示、「日本人による日本人のための実践ガイド」に徹しました。

とある通り、レポート・ライティングの入門的な本です。


学校の国語の授業や受験科目としての現代文の学習では、起承転結を活かした物語を書くスキルでも、著者の言いたいことを読み解いて設問に答えるスキルは身についても、自分の言葉で何かを伝えるスキルを身に付ける機会はなかったです



私は、嘘にならないよう、誤解されないよう、出来るだけ忠実・誠実に文章を書く癖があるのですが、それがかえって受け手のわかりづらさを助長していたこともあったな、と気付きました。

厄介なのは、忠実・誠実にしようという発想は、「問題文の設問の世界」では正解に近いということです。

しかし、現実社会では問題の設定のような状況は起こらないです。
ゆえに、現実社会に適応した表現力が必要です。


社会人になってからは、「自分の伝えるスキルの未熟さ」という課題意識がずっとあり、色んな本を読んできました。

この本を読んで私の持っていた課題意識は、
グローバル・スタンダードなライティング技術を身に付けるにはどうすれば良いのか」
という課題だったと、より内容が明確になりました。

(課題が明確になったので、しばらくはグローバル・スタンダードなライティング技術に特化して、関連書籍を読んでいこうと思います)



この本では、ビジネスライティングの基本は考えるプロセスにある、ということで、
考えるプロセスと書くプロセスを分けて解説しています。


この考えるプロセスについて理解するための説明が秀逸な本です。

読み手の疑問に対する答えこそが、ビジネス文書で伝えるべき考え(メッセージ)なのです。厳しいようですが、それ以外の関心のないテーマについて、いくらあなたが手間暇かけて書いたところで、その文書は読まれないのです。


読み手ファーストな文書を作成するためのツールとして「ピラミッドの原則」という考えるプロセスが紹介されています。

自分の頭に染み込ませるために、巻末付録の「ピラミッドの基本パターン」のページをコピーして、練習用に毎日読んでいます。

(本書では、「1日1ピラミッドを4か月続けてください」といアドバイスがあり、実践中)

 

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こんな感じで、この本にとっても影響を受けている私ですが、一番の理由は本書の中に、とても刺さった文章があったからです。

長年の教育のせいか、風土せいか、メッセージの断定を避けようとする日本のビジネスパーソンは少なくありません。この手の包括的な一般論に逃げないよう意識して、明快な要約メッセージを打ち出すよう心がけてください。考えのプロセスで妥協すると、考えを組み立てることが出来なくなります。


最近、私はメッセージの断定を避けて文書をまとめることに、自分自身で限界を感じて悩んでいました。
気を使いすぎて疲れてしまった……とも言えるかもしれません。

例えば、私は基本的に「絶対」という表現を使うことがなく、どう転んでも大丈夫なようなリスクの低い表現をすることが多いです。(ホント、日本人!)
それには、良い面もあれば、悪い面もあって。

本書を読んで少しスッキリ。

 

ではでは。