「生産性」の本質的な意味

ここ10年で出会った中で、一番影響があった本について。


本って、買う瞬間が一番楽しい

本屋さんで「本を買う」のが好きな私。

目的なく、色んなジャンルのコーナーをふら〜っとまわって、気になった本を買います。(最近は、ビジネス書が多い)

買うペースと読むペースが合ってないので、常に、10冊くらい積読本があります。

ある時『採用基準』という本に出会いました。
「地頭より論理的思考力より大切なもの」という表紙の言葉にとても惹かれました。

 

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文章が読みやすく内容にも非常に感銘を受けたので、その筆者の別の本を、手にとってみました。


それが『生産性』(著・伊賀泰代)。

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この本に出会ってから、「生産性」は私にとって非常に大事な考え方になりました。
仕事人としての自分にとって、バイブル的な本、と言っても過言ではありません。


バイブルになった理由

会社にもよると思いますが、
ITソフトウェア開発に従事している私は、常にハードワークでした。

リリースした後は少しだけ落ち着く期間があるのですが、
リモートワークが導入されるまでは、
平日は基本的に終電以外で帰ったことはありませんでした。

この本を読んだ時は、連続で炎上プロジェクトにアサインされていて、心身ともに疲弊。当時の自分にとって、史上最大の大炎上。

何にも決まらない会議が長時間続いているのに、
会議をするだけで安心しているメンバーが多かったので、現場改革が急務でした。

しかし、「もっと効率的に進めましょう」という言葉では、なかなか受け入れてもらえず。

モノやサービスを作る際に
’時間をかければかけるほど、価値が生まれる’という考え方を強く持っている方が結構いました。
何かを効率化したら、その分価値も下がってしまうような印象をもっていたのかもしれません。

ステークホルダー(判断をする権限があったり、キーになる人)には、
「80年代のバブル」や「ITバブル」の経験者も多く、
”インプットのからアウトプットに繋がる有効率”のようなものを価値判断の基準にしている方が、あまりいませんでした。

モノ(アウトプット)を生み出すための
ヒト・時間・お金などのリソース(インプット)が無尽蔵に求められる。
しかし、だいたいのインプットは会社として制限があるので
結局、ボランティア精神でするような仕事も多く存在してました。

そして、多くのメンバーが
アウトプットに繋がるか関係なく、とにかくただインプットをしていることで「仕事をしたー!」と満足している。


そんなとき、『生産性』を読んで、
「今のプロジェクトの状況は、
非常に生産性が低いどころか、ほぼないに近い状況だ!」
ということを認識することが出来ました。

それをきっかけに、モヤモヤと上手く言語化出来てなかった状況を、スッキリ構造化出来るようになりました。



”生産性”といえば、「生産性がない」というネガティブな表現が多く使われている印象です。
生産性がない=価値がない、みたいな。
個人的には、本質的な意味では「生産性がない=価値がない」と思ってますが、多くの方が「生産性がない=価値がない」と認識している前提でいることが大事なのかな、と思っています。

個人な行動に関しては、生産性の有る無しで判断せず、”生産性が高い”かどうかという視点をもって、物事を考えるようになりました。

”生産性が高い”とは、アウトプットに対して得られるインプットの量が多い状態のこと。



プロジェクトマネジメントの領域で、アジャイル開発という考え方があります。
特徴によって、様々な手法があり、そのうちの一つにスクラムという手法があります。

このスクラムで、「バリュー」という考え方があるのですが
後になって、本質的には生産性そのものだな、と気づきました。

投入コストに対して、ユーザーにとっての価値が大きいものが
バリューが高く、作業の順番の決定要素になります。


「私は生産性の高いことを判断基準にします」と現場で話をして(宣言して)、
何度も何度も生産性という概念が浸透するように導いていくうちに
少しずつメンバーの意識も変わってきました。

それから数年、(他にも色々な取り組みを経て)
結果的にこの大炎上プロジェクトを無事に消火できました。


仕事だけでなく、自分が何かを決める判断基準として
生産性という概念が出てきたことで
少しずつ、私の行動も変わってきました。

そして、その行動の一つ一つの積み重ねで、少しずつ成長することができたな、と思います。

『生産性』という本は、”私”を、より良くしてくれた本。
だから、「バイブル」です。
今でもたまに、仕事で行き詰った時に読み返します。

 

 

 


ではでは。